「子どもの声アンケート」分析結果から聴こえる声にどう応えるか

「子どもの声アンケート」分析結果から聴こえる声にどう応えるか

 今回、子どもの声アンケートの中でも特に子どもの気持ちや本音が反映されているであろう、自由記述に書かれている文章について分析・考察を行ないました。自由記述に記載された悩みや不安を同じ内容や似ている内容ごとに分類しました。分類は大きく①「将来の悩み」、②「現在の悩み」に分けられ、「現在の悩み」はさらに①「学習面の悩み」、②「学校生活の悩み」、③「家庭生活の悩み」、④「経済・お金の悩み」、⑤自分自身の悩みの5つに再分類する事が出来ました。(2017年 長野のこども白書 「子どもの声アンケート分析」 参照)
 実際の子どもの声と調査分析結果から、悩みの根本・中心には「生活困窮・不安定な家庭生活」があると受け止めました。日々の生活を維持するためにも、親は体も体力も無視して必死になって働くが日常生活の維持が精一杯。その様な姿を見て生活をする子どもにとっては、親の心配はするけれど自分の事を心配してもらえる・受け入れてもらえる存在として親との関係を作る事を遠慮、またはできずにいます。そうなれば自分を認めてもらう存在を外に求めるのですが、学校では逆につながりを得られずにいます。その様にして「自己肯定感」は低下していく。「自己肯定感」が低下した状態で生活していく事により「対人不安・恐怖」に繋がり、自分の殻に閉じこもる傾向があるのか、そのような記述がとても多い。日常的なストレスも外に発散させるにはお金もかかる。何かスポーツをしたい、遊びに行きたいと思ってもお金がかかり行けない。希望する部活はお金がかかるので選択せず、外出は控えるという記述もあります。ストレスを外で発散させる事が出来ず、家庭内の人間関係が不仲になってしまっているという記述があるのはこうした背景を想像させます。勉強においても、徐々にと難しくなる勉強について行けなくなり、勉強が分からなくなる。そのつど先生等に相談出来れば良いが、先生との関係をうまく作れず相談も出来ない。分からないまま次に進み、勉強に対してもやる気がなくなってしまう。また塾などにも行きたいが、お金がかかるため行く事が出来ずにいる。家庭は勉強を応援してもらえたり、教えてもらえたり、落ち着いて勉強が出来る環境ではない。こうしたスペースが欲しいと書いている。進学についても、なりたい職業ややりたい事は有るのかもしれないが、現実的な将来を見据えると安定した職業(公務員や医療職など)を目指すしかない。しかしこの様な職業を目指すには進学が必要になるが自分は学力や進学資金がない。やりたい事やなりたい仕事の選択肢が見えず、職業や夢を考えられない・見つけられなくなってしまっている。それぞれ表現は違うが、こうした記述が多く見られます。
 全体を通して、自由記述から聴こえてきた子ども達の声には、①保護者がひとりで家計を支えていることへの不安、②経済的理由での諦めと我慢、③学校での自分に自信がもてず人間関係における不安な思いがあります。                                  

「食事提供のある居場所」(子どもカフェ)では、この声に応えることはむずかしいと思われます。

では、この子ども達の悩みに応えるにはどんな援助が有効なのか考えてみました。
①安心して家庭で育つ権利を ~児童扶養手当の増額・就労と所得の安定・住宅・ライフライン・保険・医療の援助や現物支給~
②安心して勉強に励める権利を ~学費・部活動費・給食費の保護者負担の軽減または無償化・無料学習支援・スペースの確保~
③全ての子どもに進学する権利を~給付型奨学金の拡充、権利として高校・大学・専門学校への進学の保障、情報提供・相談機能の強化~
④学校教育における配慮や支援~画一性を求めない寛容な指導~





Posted by 長野の子ども白書編集委員会. at 2017年10月07日22:21

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