明日あさっての2日間、第8回不登校を考える県民のつどい

明日あさっての2日間、第8回不登校を考える県民のつどいが望月少年の家で開催されます。
つどいの実行委員会の主催です。県教委からは新たな「行動指針」の案も示されましたが、そこから伝わって来ないのは本人の苦しみや保護者の困惑です。学校に来ない子がいることに問題を感じている学校の「対策」ばかりが伝わってきます。。

大事なことは本人・保護者にとっての不登校問題だと思います。   

 まず、全国的に見ても長野県に於ても、「不登校」は年々増加傾向にあるということを確認しておきたいと思います。「不登校」と言う定義の問題も指摘されていますが「長期欠席」(30日以上の欠席)そのものも増加傾向にあります。H27 県内の不登校児童生徒数は、小学校541人(0,48%)、中学校1,668人(2,71%)、高等学校703人(1,19%)合計約3,000人と報告されています。
私たちの周囲の様子や相談機関での実感からは、この数字よりもっとずっと多くの子どもたちが「不登校」に遭遇して苦しんでいると思われます。この間、文科省が不登校児童生徒についてその対応を改め「登校をむりに促さない」方向で方針を出したことで、長野県の「行動指針」や「対応の手引き」も改訂されました。この背景には「多様な教育機会確保法」が成立したこともあります。公立の学校だけが学びの場では無く、それ以外の場所での学び(家、フリースペース・フリースクール・夜間中学など)も、認め、出席日数や予算付けにも配慮することを明記した法律です。このことで学校現場ではこれまでのように「学校復帰」だけを目標にしない方向が出てくることは考えられますが、かといって他のまなびの選択肢がたくさんあるわけでは無く、またその周知や利用しやすさには限界があるため、むしろ「学校が手を引いてしまう」傾向にならないかと心配が募ります。本人も学校には行かれるなら行きたいと思う気持ちがあるからです。県の方針は「学校に来ない」ことだけが問題視されているように読み取れます。
 実際に「不登校」に直面した時の本人の苦しみは想像以上のものがあります。自分でも理由がわからない身体症状に驚き、病院でどこも悪くないと診断されると、自分の努力で何とかなるのかと思い、がんばってみるがすでに限界を超えている身体は悲鳴を上げ、自分が自分をどうすることもできないつらさに固まることしかできません。周囲の励ましや手助けはいっそうそんな自分を追い詰め、引き裂かれるような痛みを味わいます。「休もう」「学校に行かなくても健康ならそれでよい」という、現状を受け入れてくれる受容だけが心も体も安心させてくれます。不安症状が募ると学校から心療内科に受診をすすめられますが、食欲や睡眠を助けてもらうことはできても「不登校」が治療されるわけではありません。「病気」なら欠席が許されるという想いから通院を始めると、「不登校」から「病欠」にカウントされるようになります。医師の診断書は安心して休むための「お墨付き」にはなりますが、本人は「健康」であることにこそ自信をもって「病気ではない」ことを喜びたいです。休んでいるとその安心感から、ちがうエネルギーが膨らみます。必ずしも学校や学びではないかもしれませんが、大事なエネルギーです。「学校」より「いのち」が大事です。この時期から本人も保護者もこの先どうなるのかわからないくねくね道を歩きますが、それが「学校」に向かわなくても気にしないことです。毎日学校に行かない子どもと向かい合って「これからどうしよう」と悩み、「ふたりで死のう」とまで思い詰めたお母さんの声を聞くことさえあります。いのちがあることを大切に思って、いのちの向く先を一緒に探してあげれば本人はとても楽になれます。学校に戻る子もいるし、他の場所に通う子もいるし、家で過ごす子も、アルバイトする子もいます。受験や進学を心配して相談に来られる方も多いです。この時期に学校復帰を試す子もいます。どんなに季節が変わっても、他の子が揃って進学しても、「自分はここで生きている」という安心感があれば、きっと抜けられる大事な時間だと思います。家に居ても退屈だなあ・・・と思えるようになったら、学校の中の居場所をはじめ、中間教室(教育委員会)や民間のフリースペースなどもあります。保護者の方が「そんなこと言っても、学校に行かなくて大丈夫かなあ」と不安だったり心配だったりしたら、ブルースカイなどの親の会もあります。このテーマを学校の先生に相談すると「では学校に来られるようにしましょう」と学校復帰に情熱を注いで下さるので要注意です。学校の情報だけはしっかり保護者が受け取っておくことも大事です。私の知っている先生は、不登校の生徒の家に毎日帰りに寄って、庭にいる飼い犬に話しかけてお便りをポストに入れて帰っていました。2階の窓からそっとこの様子をみていた不登校の中学生は、3か月後に2階の窓から「先生」と声をかけました。(2017・11 長野の子ども白書編集委員会事務局 小林啓子)


Posted by 長野の子ども白書編集委員会. at 2017年11月17日22:12

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。

コメントを書く

 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。