H27長野県ひとり親家庭調査「子どもの声」分析チームの報告。(5)

H27長野県ひとり親家庭調査「子どもの声」分析チームの報告。(5)

Ⅰ 私たちの分析
 3、みんなと同じ普通の生活がしたい。
「相対的子どもの貧困」が、なかなか見えにくく、何が欠落しているのかわからないため、外見上はもちろん漫然と対応しているだけではその対策に何が必要なのか判断できないむずかしさが指摘されています。特に戦後の窮乏期を体験した世代は「貧困」というと、衣・食・住に事欠き、おなかをすかせて同じ服ばかり着ている子どもをイメージし、出会ったら食事を提供したり欲しいものを寄付してあげようと安易に思うのですが、実際何に事欠く生活なのかは、ひとりひとり違うし、保護者はおよそ外見上の「普通」を保ちたいと努力しているので、簡単には隣近所で互助できるものとはいえません。この「子どもアンケート」は、実に明確に「何が欠落しているのか」「何が普通なのか」を教えてくれています。最大の「普通の条件」は1で示されたように、家になにがしかの貯蓄があり、子どもの将来に備える余裕があることです。その次は生活するうえでみんなと同じように「自分のやりたいこと」をあたりまえに体験できる機会です。「生活費」の不足を感じている記入も多く、また、具体的な持ち物についての記入もありました。これらは「お金があれば手に入る」ものですが、小遣いが少なく「みんなと同じようにできない」劣等感や自己嫌悪が、消極的な生活態度に反映しています。勉強ができなくても塾に行かれない負い目も、学校の教師への期待を失わせ、差別されたり排除されると「どうせ」というあきらめを生んでしまっていないでしょうか。「あたりまえの、普通の生活」が何を指しているのかを知らなければ、有効な対策は講じられそうにありません。以下の記入にはその答えが詰まっているのでしっかり受け止めたいです。また、学習支援のあり方も、子どもたちが望んでいるのは「場所・環境」であることも重要な点だと思います。
それぞれの学年の「お金の悩み」(進学資金を除く)を分析してみました。

小学生のお金の悩み
生活費 28%お母さんがお金がないし、水道代など支払うのにすごく困っているので心配。アレルギーを持っているので定期的に病院に通いたいが病院代がなくて困っている。
金が無い 28%
習い事をしたいが金が無い 20%サッカーが好きでクラブに入りたいが、母子家庭で生活するのに大変でお金が無いので入りたくても入れない。
その他 20%もっと外食したり、遊びに行きたい。お金があれば周りの子と同じでいられる。

中学1,2年のお金の悩み
生活費 35%生活費。生活が大変。
お金が無い 18%欲しい物が多々あるが、そのことを言うとちゅうちょしてしまい言えない。
学費・部活動費 17%部活のお金も高くてぎりぎりなんとかやっている状態。
その他 18%手当が欲しい。私立中学にも補助金が欲しい。

中学3年生のお金の悩み
金が無い 34%家にはお金が無い。
生活費 22%母が1人なのでお金の事が心配。経済面。
学費・部活費 11%部活動にかかるお金。

高校1,2年生のお金の悩み
お金が無い 32%祖父母は病気がちで、貧乏で不安しかない。お金が一番心配
その他 24%中学から高校に入ってからの方がお金がかかると思う。なのに国や市の援助が少ない。アルバイトで休みが少なく体調を崩してしまう。
学費・部活動費 16%学費など親への負担など。

高校3年生のお金の悩み
お金が無い 57%父からの支援が無いため、全体的に金が無い。何をするにも金が必要。お金がかかる。
生活費 15%経済的に心配。
学費・部活動費 14%学費援助を充実させてほしい。

3 普通の生活がしたい・自由記入

趣味・習い事・塾・部活
僕はサッカーが好きでクラブに入りたいが、母子家庭で生活するのにも大変でお金が無いので入りたくても入れません。会費もユニフォームも無料のところがあれば いいなと思います。習い事がしたいが費用が大変そう。習い事をしたいができない。お金があれば周りの子と同じでいられる。夢は叶えたい。お金は支援がほしい。習い事をしたいがお金が無くてできなくて悲しい。お金が無くてやりたいことが何もできず遊びたくても遊べない。お金が無いこと。もっと外食したり、遊びに行きたい、父がほしい。何事も長続きしない。勉強がみんなより遅い。進学をあまり考えていない。将来の 事を考えていない。生活がぐうたらしている。勉強がわからなくなった時塾にいけるか心配。塾に行きたいが、行かせてもらえない。野球部のマネージャーになりたいが、私立なのでお金がかかってしまい、家族に心配をかけたくない。勉強ができないので塾に通いたい。家はお金がなくてすごく 大変。お小遣いも全くない。部活のお金も高くてぎりぎりなんとかやっている状態。母が一人で働いているので、習い事や進学をしたくてもお金に余裕がなく、アルバイトをして自分で行くしかない。部活もできない。

したいこと
もっと外食したり、遊びに行きたい、父がほしい。勉強がわからなくても、親がわからなくて教えてもらえない。もっと母と一緒にご飯を食べたい。旅行ができない。朝ごはんを私の分も作って欲しい。

欲しいもの
エアコンがほしいが買えない。友達はゲーム機を持っているが、僕の家はない。お母さんはお金が無いと言っている。県の住宅はトイレに入るとお湯が出なくなるから困る。お風呂や水道でお湯が出るところに住みたい。何をやるにもお金が無く我慢が多い。エアコンがほしい。スマホがほしい。月のお小遣いが少ない。LINEができない。お小遣いがあまりもらえない。早く無料塾みたいな所を作って欲しい。かわいい服が少ない。楽しい所、安全な場所が少ない。

家事・留守番
母がいないから、家のことと勉強をやらなくてはいけない。母が仕事が遅くて寂しい。一緒にいる時間がほしい。留守番が少し怖い。
                  
学校・先生
勉強についていけるか不安。友達が信用できない。Lineが嫌でやっていない。やっていないと馬鹿にされる。先生にサインを出しても「そんなことみんながうまくいくはずがない」と特定の子には言わず我慢する子には言い、扱いが違う。断れない子が辛い。相談しても解決しない。学校の勉強が難しくてついていけない。自分が分かるようになるまで教えてくれる先生がいない。不登校になっていた時の学校の対応がひどかった。どんな理由で不登校かは人各々 だけど、それしか選択の余地が無い人たちの場合、児童の頭数で付加される国から 学校への90万円を母の給料にするなどのシステムを作らないと、子どもの居場所は 確保できないと思う。季節休みが短い。
                              
勉強できる場所がほしい。(友達と相談しながら勉強できるところ)     
十分に勉強できる環境が少ない。町の図書館によく行くが火、木が休みだったり、平日電車で帰ってくるとしまっているので開館時間を学生のために長くしてほしい。家で一人で勉強に励みづらい。高卒認定試験を中信や南信でも受けられるようにして欲しい。学校や他の人がいる時は勉強ができるが、家で一人の時はメリハリがつかずだらだらとしてしまう。公民館や学校などで勉強できる時間があると良い。公民館等で勉強する場合は、レベルにあった勉強をしたい。歩いて行ける所に図書館がないこと。












Posted by 長野の子ども白書編集委員会. at 2018年01月22日20:44

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