高い教育費の負担は、保護者にとっても本人にとっても、大きな負担です。公立高校の無償化と私学への就学支援金制度はどうなっているのでしょうか。2012長野の子ども白書のために、長野県私立学校教職員組合連合 中央執行委員長・轟勝彦さんが書かれた原稿の一部をご紹介します。
私立高校も実質無償化を
〜長野県の高校生の6人に1人は私立高校生〜
「社会全体であなたの学びを支えます」として、2010年4月より公立高校の無償化と私学への就学支援金制度がスタートし、2年が経過しました。この間、支援金制度は全国各地で私立高校生にとって大きな影響がありました。それは、支援金制度によって、私立高校生の経済的理由による退学者数が大きく減少しているという調査結果に表れているようにその政策効果が明らかになっていること。また、支援金の不完全さと自治体の学費減免制度の格差によって、依然として残る私立高校生の学費負担における自治体間格差の表面化という問題です。
残る多額の保護者負担
長野県は、2010年度私立高校生の授業料軽減予算を国の就学支援金と引き替えに84%も削減しました(削減率全国ワースト2)。これに対し、長野県私学助成をすすめる会や県教組や高教組、私教連などで構成する県民教育署名をすすめる会などが中心となって、私学教育署名や県民教育署名運動を大きく展開し、いずれも昨年度を上回る署名数を集め、父母とともに県や国への請願や陳情を積極的に行った結果、2011年度の私立高校生への授業料軽減予算は、2010年度2,717万円の予算を121%増額させた6,001万円の予算を実現し、補助制度も一定の拡充をさせることができました。私たちはさらに運動を強め、2012年度予算では50%増の8,993万円の授業料軽減予算となりました。
長野県では、6人の高校生のうち1人が私立高校生で約1万人の私立高校生は、支援金が支給されても大きな負担が残されたままです。長野県の私立高校の学費の平均額でいえば、学費は、28万円の授業料と実質授業料である20万円の施設設備費からなり、計48万円です(年額)。この施設設備費というのは、実際には施設・設備をつくらなくても納付するものです。国の就学支援金が約12万円給付されても毎年36万円は保護者が負担しなければなりません。さらに別途、公立高校生と同じように、教材費や修学旅行の積立金など教育活動に必要な学校徴収金が毎月1万円ほどかかっているのが現状です。低所得家庭については、前記した県の授業料全額免除・一部軽減補助制度がありますが、それでもこの施設設備費は残りますから、約2万円の施設設備費と学校徴収金の約1万円は毎月負担しなければなりせん。(以上、轟勝彦さんの原稿の一部を転載しました。)