大阪府保険医協会「医療・介護現場から見える貧困調査」
過日の第二回執筆者会議でも報告のあった、学校の歯科検診で「治療するように」言われても、受診していない小学生が5割近く、中学生は6割いるという調査は、大阪府保険医協会の調査を参考に長野県保険医協会が実施した調査です。昨年、この大阪府保険医協会が新たに行なった調査についての報道がありました。しんぶん赤旗が、以下のように報道しています。これは学齢児に特定した調査ではありませんが、貧困家庭の子どもたちに、同じようなことが起きている可能性は想像できます。小児科の現場から「子どもの貧困」を発見し、救済や支援につなげようという医療従事者の広がりや、「貧困の可視化」にとって大きなニュースだと思います。(以下新聞記事)
大阪府保険医協会・大阪府歯科保険医協会が昨年12月に加盟医科・歯科診療所に行った「医療・介護現場から見える貧困調査」(回答は1115診療所)で、「この半年間に治療中断または中止する事例があった」と答えた診療所は医科で6割を超え、歯科は9割に上ることが分かりました。5割が、患者から窓口負担分を受け取れない「未収金」が「あった」としています。
最近の日常診療で次のような事例があったか(複数回答)では、医科の「薬が切れているはずなのに受診に来ない」(66%)が、2013年調査時の35%より大幅に増えました。ほかに、「長期投薬の希望が増えた」(65%)、「受診回数を減らしてほしいといわれた」(46%)、「ジェネリック医薬品にしてほしいと患者にいわれた」(65%)、「生活保護患者の受診が増えた」(49%)など。歯科では「痛みがとれたら受診に来ない」(71%)が最も多く、次いで「痛みだけとってほしいといわれた」(43%)など。「症状の重い初診患者」は歯科が多い傾向にあるといいます。「半年間に医療費負担を理由に検査や治療、投薬を断られたことがあった」は、医科で45%、歯科で28%。昨年4月以降70歳になった人の窓口負担が2割になり、「診療に影響があった」は18%、「ケースワーカーから生活保護患者の診療を制限するような事例があった」は、医科で18%でした。調査では、「売薬で治そうとする人が増えた」「初診から重症(がん、肺炎など)の人が増加」「中断すれすれでなんとか継続している患者が大変多い」など、患者の実態や声が多く寄せられました。同協会は、前回調査につづき、治療中断、未収金の実態が深刻だとうかがわせる結果だとしています。