2024長野の子ども白書掲載予定記事紹介 ①不登校、その「支援」の前に…後半
4. 「自由記述]から見えてきたこと
交流会の調査では、「不登校の要因について」、「各相談先について」の2点、自由記述形式の質問を設けました。ここでは、その切実な声の一部をご紹介します。なお、個人や団体が特定できないよう、主旨が変わらない範囲で変更を加えている箇所があることをご了承ください。
(1)不登校の要因について
①「教職員」に関する記述
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発達障害のクラスメイトを先生が強く叱責するため、ストレスのはけ口として我が子が暴力を伴ういじめのターゲットになった。
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クラスメイトがひどく叱られていることが自分のことのように辛く感じたとも言っている。
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自分の名前を漢字で書くと、習っていないという理由で×をつけられた。
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担任に体調が悪いと訴えても保健室に行かせたもらえなかったり、早退について保護者への連絡がなかった。
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同調圧力を感じさせる言葉を掛け続けられた。
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(集団行動ができないことで)「こんな事もできないようでは、お前の将来は刑務所の中しかないぞ」と言われた。
②「決まり」や「集団行動」に関する記述
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時間を計りながら給食を食べさせたり、決まりが多かった。
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指示に従って集団で動き、その度「評価」されることに敏感に反応し、違和感を募らせていたようでした。
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連帯責任と言ってみんなのせいにする。
③「いじめ」に関する記述
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担任に話をしても信用してもらえなかった。
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虐め加害者に学校は一度も注意も話を聞くこともなかった。
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「お前は支援級に行っているからバカだ」と言われた。学校は少数派の子どもたちには苦しい場所だと思います。
④「学校の仕組み」に関する記述
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みんな同じ、与えられたものを、繰り返し何回も、というスタイルが合わなかった。
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決められたことをする、いい子にならなくてはいけない、人と比べ合う状況などに苦しんでいました。
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学習障害への対応を求めたが、特別扱いはできないと支援を断られたことで(学校に)居場所がなくなった。
⑤「教育委員会やSC、SSW」に関する記述
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いじめ加害の解決ではなく、本人がどうやって学校復帰するという提案しか出てきませんでした。SCやSSWも、それを追認するだけで、専門性が大いに疑問でした。
⑥文科省の調査方法自体に関する記述
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本人にも明確な理由はわからない。
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(不登校は)問題が複数絡んでの結果だと思います。
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家庭に(選択肢のような)原因があると言われているよう。社会的レッテルを貼られている気持ちになる。
⑦コロナに関する記述
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コロナ対策が、より学校を嫌な場所にした。
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コロナ自粛明けということもあり、不安定なまま小学校生活がはじまりました。
(2)各相談先について
①学校内
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いじめの相談をしても先生たちが認めず隠蔽している。
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SCやSSWは、とにかく当たり外れが激しい。
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SCの方が、否定をする事ばかりでただただ傷ついた。
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いじめる側をカウンセリングすべき。
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学ぶ意欲があってもプリントだけ渡して放置でした。
②教育委員会・行政
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教育機会確保法すら知らない教育委員がいる。
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行政は人によって専門性が変わり過ぎて、話にならない。
③医療機関、④療育(発達支援)施設
・希望者が多いのか、まず繋がるのが難しい。
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半年以上待たされて、どんどん子どもの状況が変わってしまう。親子で悩んでいる時間がつらくなります。
⑤フリースクール・居場所
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子ども目線でのアドバイスが聞け、子どもが元気になった。
・親の話も親身に聞いてくれ、家族を助けてくれた。
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やっと自分でいられる場所を見つけた。そうでなかったら死にたい気持ちになっていた。(本人)
⑥親の会
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同じ思いをされている親子がいると知り本当に救われました。
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情報量も多く、共感力も高く信頼できる。親の会にこそ国の予算を充てて欲しい。
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ピアサポートが一番寄り添ってもらえて、子どもに前向きになれるのではないかと思う。
終わりに
残念ながら、今日まで、支援の前提となる「正しい現状認識」が欠けていたことは否めません。今後、行政レベルでは、政策を議論する段階から、いかに「当事者の声を反映させる仕組み」を作れるかが鍵を握るでしょう。また、現場レベルでは、見解の相違があることは受け入れつつも、まずは子どもや保護者の困り事に「共感する態勢」が不可欠です。場合によっては、共感できない教職員を支援チームから外す決断も必要かもしれません。
いずれにせよ、不登校への理解が進み、当事者に寄り添った支援のあり方を模索していくためにも、私たち、交流会の調査結果が、一人でも多くのみなさんの目に留まることを願っています。