024長野の子ども白書掲載予定記事紹介 ②学校がはぐルッポなら行くんだ

2024長野の子ども白書掲載予定記事紹介 ②学校がはぐルッポだったら行くんだけどな
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024長野の子ども白書掲載予定記事紹介  ②学校がはぐルッポだったら行くんだけどな

「学校のあるある」 Vol.2 学校がはぐルッポなら行くんだけどな
子どもの支援・相談スペース「はぐルッポ」代表 西森 尚己

はじめに
「はぐルッポ」は学校へ行っていない、また登校していても苦しい思いをしている子どもの居場所です。子どもが、自分で考え自分で決めて次の一歩を歩みだすお手伝いをしています。また保護者の相談も受けています。11年目になります。
2022年度の不登校児童生徒の数が文科省から発表され、10年連続の過去最多でした。毎年一番多い要因は、本人の無気力・不安、続いて家庭環境でした。しかし、「はぐルッポ」の保護者の相談では、不登校のきっかけは、学校での出来事、教員との関係、いじめ、学校の決まりなどが圧倒的に多いです。
「信州居場所・フリースクール等運営者交流会」が不登校児童生徒の保護者にアンケートを実施しました。結果は予想通り、きっかけが学校にある場合が最多でした。時を同じくして「多様な学びプロジェクト」が、不登校の子ども・保護者・経験者に全国的にインターネットで実態調査を行いましたが、やはり結果は同じで、文科省の調査とは乖離していました。当事者抜きにした調査結果をもとに行われてきた不登校対策が10年連続過去最多にしてきた意味を真剣に考えなければいけないと思います。
前回の白書で学校のあるあるを載せました。今回はその続きと、そして先生方が抱える保護者に対してのあるあるもあわせて載せてみました。

子どもや保護者からのあるある

□子どものことを相談したら、他にも大変な子がいるので〇〇くんだけ見てられませんと言われた。
□「家庭でできてるならそのままでやってください。学校には〇〇くんの居場所は作れません」と言われた。
□うちの子は登校していないのに、お便りに「今日は久しぶりに全員そろいました」とあった。
□医者に行って遅刻したら調理実習が終わっていて、「何もしなかったのに、ただ食べるのは常識としていけない」と言われた。
□先生に、「今週1日来たから、来週2日来て増やしていけば1年たったら毎日来れるようになるよね」と言われて辛くなった。
□母が具合が悪いときに先生が来て、カップラーメン食べているのを見て「子どもにこんなもの食べさせて」と言った。
□「久しぶりに原級に行きたい」と言ったら「クラスの準備が整わないので」と言われた。
□「こういうことは得意なので授業出たいんですが」と言ったら「もう終わりましたから」と言われた。
□小学校へ入学したら先生から「みんな友だち。友だち100人作りましょう」と言われて苦しくなった。
□廊下は右側を黙って歩く、走ったら注意される。 
□算数の計算で定規で線を引くように言われている。
□子どもどうしで、忘れ物や身だしなみチェックをして注意したり、先生に報告したりする。(先生同士でも「君のクラス忘れ物多いね」と言われる)
□中学3年になってやっと学校へ行ったら、とたんに担任から「夢は何だ」と聞かれ「ここで人生が決まるぞ」(高校受験)と言われ前より苦しくなった。
□「この大学に入るには〇高校に入らないといけないぞ、今のままでは成績つかないぞ」と言われた。
□先生に「理系のほうがつぶしが聞くぞ」と言われた。
□先生は成績つけるために挙手した回数を数えているが、「挙げすぎるといけない」と友だちが教えてくれた。
□部活動で自主練と言いながら全員参加だと言われるのはおかしい。
□学校はすべて決まっていて、子どもに選択肢がない。
□寒いのではにわスタイル(スカートの下にジャージ)で登校していたら、住民から「みっともない」と言われたからと禁止になった。
□かわいい筆箱やバトル鉛筆などは使ってはいけないと先生に言われた。使うと先生に言いつけられて、子ども同士で監視するみたいになっている。
□相談があっても先生は忙しそうだから声を掛けたら申し訳ないと思っている。
□中学に入ったとたんに「将来困るので勉強させてください」と高校受験のことばかり言う。そういう先生が「親うけ」する。
□小学校に全然行かずにいた子が卒業証書を見て「僕は本当に小学校の課程を卒業したの?」と聞いた。

教員に対する保護者のあるある
□「今日は塾があるので早退させてください」と授業中に電話があった。
□「うちの子が学校で悪口を言われたから注意してほしい」と言われ、お互いに言っているのでと話したら「うちの子はそんなこと言いません、話をすり替えないで」と逆切れされた。
□「あの子がいるとうちの子の勉強に差し支えるから何とかしてください」と言われた。
□「プリントが届かなかったから予定がわからなかった」と親が言ってくる。(子どものカバンにあった)
□「部活の先生の口調がきつくて行く気がなくなったと言ってます」と親から連絡がきた。
□保護者から、子どもの好き嫌いで食べない野菜を、給食で抜いてほしいと言われた。
□担任が妊娠したら、「クラス担任として無責任だ」と言われた。妊娠した先生が「妊娠したようなことを子どもに見せるな」と言われた。
□「AさんとBさんが仲が悪いからうちの子は気を使ってAさんといたのに、いきなりAさんとBさんが仲良くなってうちの子が困っているから何とかしてほしい」と母親から言われた。
□係の仕事が終わらなかったので、「明日少し早く来てやってくれないかな」とお願いしたら、親から「なぜ学校の都合で早くいかなきゃいけないんですか?」と電話がきた。(いつも親が送ってきていた)
□親から「友だちとうまくいかなくなって休みます」と連絡がきたが、家族で遊びに行っていた。
□掃除のときにちょっとしたかすり傷をしたので、絆創膏を貼って帰した。翌朝母親が「医者に行ったら全治2週間でした。対応が悪い」と言われた。
□母親から「GPSを持たせているが、児童センターにいるはずが全く別のところにいるようなので捜しに行ってほしい」と電話があった。
□あの先生はクラスをまとめていく力がないから何とかしてほしいと言われた。
□宿題を少なくしたら、保護者から「宿題がないと勉強しないからちゃんと出してくれ」と言われた。
□「隣のクラスの先生と比べて、授業が下手だ」と非難された

「学校が『はぐルッポ』なら行くんだけどな」
ホントにこんなことがあるの?これはお互いレアなケースでしょう?と思うのですが、死ぬからいいとまで思い詰めている子どもや保護者がいる一方で、保護者対応に苦慮している先生がいることも事実です。不登校の子も親も先生に言えないと言い、先生は親に言ったら何を言われるかわからないと思っているようです。お互いにけん制して警戒しあっていたのでは対話にもなりません。学校の問題を弁護士が助言するスクールロイヤー制度を県でも締結したようですが、これほどまでに学校と子どもや保護者との間に溝ができてしまっているのかと思うと、どうすればいいのかわからなくて切なくなります。この状況を変えていくためには、子どもを支える者同士が子ども含めて話しあうフラットな対話の場が必要です。そこではおのずとそれぞれの価値観が問われることになると思います。それを、「子どもの権利」「人権」という観点から子どもにとっての最善の利益は何なのか、保護者も、先生も自らを問い直さなければいけないと思うのです。「学校が『はぐルッポ』だったら行くんだけどな」小学2年生から「はぐルッポ」へ来ていて現在小6のA君が、つぶやいた言葉です。彼は小学1年生の時に席を離れて歩き回って先生に怒られ、教室の前に立たされて「みんなといっしょに勉強したいです。ごめんなさい」と言わされました。それから学校にはずっと行っていません。彼は「はぐルッポ」ではとても元気ですが、彼の心の底には本当は学校に行きたいという気持ちがあることが、この言葉からわかります。「障害がある子は別の学校や教室に行ってね」、「子どもが不登校になったら別の場所(多様な学び学校やフリースクールなど)に行ってね」、という動きが加速していますが、別のところへ行く子は自分とは違う子だという意識が生まれ、ますます差別を生んでしまうでしょう。今こそ、子どもの権利に則って、すべての子どもが一緒に育っていくことができるように、本丸の学校がインクルーシブな学校になっていかなければいけないと、強く思います。






Posted by 長野の子ども白書編集委員会. at 2024年04月08日21:03

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