「侍学園誕生」映画化へ 「不登校・引きこもりの若者に学校を」( 11月5日(火)信毎記事コピー)
上田市本郷の認定NPO法人「侍学園スクオーラ・今人(いまじん)」理事長の長岡秀貴さん(40)が学園を開くまでをつづった本「サムライフ」が来年、映画化されることになった。長岡さんが高校教師を辞め、不登校や引きこもりの若者らの支えになろうと苦闘した体験を描く。監督を務める映画プロデューサー森谷雄(たけし)さん(47)=川崎市=は「原作に込められた『夢はかなう』という強烈なメッセージを映像で伝えたい」と意気込んでいる。
同学園は社会生活が困難な若者の自立支援に取り組んでいる。長岡さんは母校の上田西高校(上田市下塩尻)で教員生活を5年間送り退職。「苦しんでいる子どもたちに必要とされる学校をつくりたい」との思いから、バー経営や最初の著書「ダッセン」の出版を通じて出会った協力者と共に2004年春、学園を設立した。
教員を辞めた後にカウンセラーとして向き合った自傷行為を繰り返す少女、目指す学校の姿を知ってもらおうとお金も経験もなくつくった出版社、手探りで一緒に開校準備を進めた教員時代の4人の教え子ら…。05年に出版した「サムライフ」は、長岡さんらが多くの壁に突き当たりながらも、学校をつくる夢に向けて挑戦を続けた記録だ。
07年、映像制作会社「アットムービー」(東京)社長の森谷さんが自宅近くの書店で偶然この本を手に取り、長岡さんを訪ねて「ぜひ映画化したい」と提案。スポンサーを探しながら構想を温めてきた。今年、都内の企業が制作費提供を申し出たため、学校設立10周年を迎える来年の公開に向けて具体的に動きだした。
森谷さんはこれまでにテレビドラマ「33分探偵」「コドモ警察」、映画「しあわせのパン」などをプロデュースし、映画監督は今回が初めて。映像作品や舞台の演出も手掛ける脚本家の及川拓郎さん(東京)が脚本を担当する。県内外の俳優が出演し、来年2月に上田市内でロケを始める予定。同4月の学園設立10周年記念式典で先行上映し、秋に全国公開する計画だ。
長岡さんは「サムライフは失敗を繰り返しながらも前に進む生き方を肯定していこうと書いた作品。映画によってより多くの人に思いが届けばうれしい」と話している。