子ども自殺対策データの集約・子ども家庭庁が省庁横断のデータ分析に着手
本日の朝日新聞記事によれば、子どもの自殺が増え続ける現状を打開しようと、政府が省庁横断のデータ分析に乗り出す。これまで複数の省庁に散らばる形で管理され、一部は自殺予防に十分活用されずに来た資料をこども家庭庁に集約し、個々のケースを検討しながら自殺に至る要因を多角的に調べ、科学的根拠に基づく予防策の提言につなげる構想・・・とのことです。
「文科省のガイドラインでは、自殺の発生直後、基本的に学校が事実関係の整理のために「基本調査」を行う。この結果を踏まえて、公立では学校設置者である自治体の教育委員会が詳細調査に進むかどうかを判断する。」(記事引用)
■この詳細調査を実施したのは2022年度に全国の小中学校で把握できた子どもの自殺者411人のうち、19人(4.6%)だけであった・・・とあります。本当ですか?文科省に依れば、「詳細調査に移行しない理由」として「全容解明ができ、学校に起因しないと確認されたため」という学校側の説明。学校側が遺族に詳細調査の仕組みなどの説明をした事例は59.4%とも書かれています。
■「学校側の判断」・・・「不登校調査」とよく似た背景が透けて見えます。そもそも、子どもの突然死・急死を、「自死」と認めたがらない学校関係者の言動を当事者から聴いたことがあります。「在校生・同級生が動揺するので病気と言うことで発表したい」と、駆け付けた校長が遺族に告げた例。明らかに自殺なのに「本人の名誉のために公表しないで」と親族が助言した例。「自殺は忌まわしく悪いことだ」「原因を解明するのは大変で誰かが責任を負う」という価値観から、特に学校では「無かったことにしたい」ので、「忘れる」ことに専念する。卒業式に名前が無いのも卒業アルバムが届かないのも良く聞く話です。
■特に長野県の場合、未成年の自殺は学齢児(主に高校生)で、長期の引きこもりや不登校では無く「学校から突然姿を消す」。学校の個人や特定の環境ばかりでなく「学校教育」という場の「なにか」が積み重なって「原因」となる・・・・。この原因解明に着手しなければ。何度も自死を試みた中高校生の声に耳を傾ける気持ちすらない。「学校のあるある」がいつ引き金になるかわからないのに。
■「相談すれば予防できる」以前の話です。早くやりましょう。「こども家庭庁」が、省庁横断を謳いながら実際の行政上の仕組みは「文科省とは別」なのが難関です。文科省は今や学校教育の水準を守る組織であって、子どもの命を守ったりはしないと思います。