「子どもの権利条約」の理解と啓蒙を任されている(期待されている)のは文科省

「子どもの権利条約」の理解と啓蒙を任されている(期待されている)のは文科省

「子どもの権利条約の精神にもとづき」と「こども基本法」が明記していますが、昨年の4月以降「こども家庭庁」およびそれにつながる各自治体の担当部署で、「子どもの権利条約」の啓蒙や学習を始めたところはあるでしょうか?予算はこども家庭庁からは降りてこないので、きっとどこもそんな面倒なことには手を付けていないでしょう。(どこかやっている自治体があったらごめんなさい)それは前にも書いたように、その理解や啓蒙の責任は「文科省」にたらいまわししているからです。でも文科省はこの「こども家庭庁」とは別組織なので、そんなことにはすぐ手を付けたりはしないし、そもそもよく読めば「改訂教育基本法」そのものに子どもの権利条約の精神とは齟齬のある部分もあり、そんな面倒な問題に手を付けるはずがありません。でも過去にも現在も文科省には高い見識を持つ職員が多く、この条約の精神も一番よく理解していると思われます。近年の教育施策における文科省の立ち位置は、たびたび政治的介入によって危ういものにすらなっています。安倍政権下の「GIGAスクール構想」の拙速な実施は、文科省も反対していたと聞きます。子どもの権利条約を日本が批准する前から「子どもの権利条約への理解を広めよう」という機運がおこり、「子どもの権利条約」のパンフレットが多くの「学校で」配られました。でもこの時、実は学校教育のシステムやあり方が、「子どもの権利条約の精神」とはかなりかけ離れていると実感した学校現場では、「子どもの権利条約」の学習をせいぜい海外で医療を受けられず亡くなっていく子どもたちへの支援につなぐ程度で、「子どもがその権利の主体である」と言う精神をしっかり教えることができた教師は本当にわずかしかいなかったと思います。

「児童の権利に関する条約」は,1989年(平成元年)11月20日に第44回国連総会において採択され,我が国は,1990年(平成2年)9月21日にこの条約に署名し,1994年(平成6年)4月22日に批准を行いました。 (我が国については,1994年5月22日に効力が生じています。)

この過去の状況からしても、今回「こども基本法」に明記されたとはいえ、文科省がその啓蒙や理解に取り掛かるようすはまだ見えません。


Posted by 長野の子ども白書編集委員会. at 2024年05月02日08:47

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