G7広島サミットと漫画「はだしのゲン」が広島市の平和教育教材から外されること
2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7広島サミットにむけて、政府は「準備」を進めているそうです。このタイミングで広島市立小学校の平和教育教材から「はだしのゲン」が外されることになったのも、その流れなのでしょうか・・・?
■今朝の朝日新聞「天声人語」にも、この漫画「はだしのゲン」のことが書かれていました。「小学生のころは怖くて、途中までしか読めなかった」と書かれています。教室や学校図書館に置いてあり、だれしもが一度は題名を耳にしたり目にしたり読んだりしたことのある風景が目に浮かびます。その後、アニメや映画や演劇になってさらに広がりました。昨年は松本でも演劇「はだしのゲン」の上演が多くの観客を集めました。
■私が持っている漫画「はだしのゲン」9巻セットは、かつて自分が担任した学級でいつも生徒用のロッカーの上に設けた「学級文庫」にならび、たくさんの子どもたちに読んでもらいました。「学校で読んでも良い漫画」が少なかった時代なので、人気があったかもしれません。「漫画」というものが「教材」になったという意味でも先駆けだったと思います。多くの中学校で広島への修学旅行が計画されました。
■作者の中沢啓二さんが「自分が体験した非道な戦争への強い怒り」をこめて描いた作品は、直接語られる「戦争体験」として読者の心にダイレクトに届きました。今も、これからも届くはずです。唯一の被爆国日本の「声」として。「核兵器禁止への強いメッセージ」として。
■これこそサミットに参加する各国代表にプレゼントすればよいではないですか。首相の上滑りな演説よりもずっと説得力があると思います。子どもたちのために漫画として描かれ、優しく配慮されてオブラートに包まれてなお「脳裏に焼き付いて消えない」あの悲惨な情景は「忘れてはいけない!」というメッセージです。読んで「怖い!」という体験を通してこそ、「伝わって」いるのだと思います。