「戦争って急には始まらない」(信毎「鍬を握る」小川哲さんの記事紹介)
信毎の連載「鍬を握る」(満蒙開拓からの問い)は、戦争に巻き込まれた過去の人々の被害からだけでなく、その侵略戦争を「日本がしていた」という事実に向き合うことから、「平和」への展望を見出そうとする方向に視点を定めてきたと思います。
戦後、日本の民主主義を実現しようと決意した人々が、まず宣言したのは「二度と戦争はしない」という約束です。憲法9条がその決意を法律で示しました。戦争に多くの教え子を送り出し、戦争に加担した責任を悔いる教師たちは、労働組合の旗にまず「教え子を二度と戦争に送らない」と記し、その思いで連帯して立ち上がりました。「まきこまれていた」と弁明せざるを得なかった渦中の世代が語り継ぐ「平和」は・・・。
5月8日の「鍬を握る」には、作家の小川哲さんが投稿しています。
著書「地図と拳」(直木賞受賞)を読まなければなりませんが、戦後の私たちの素朴な疑問「どうして日本は戦争をしてしまったのか」こそ、次世代に語り引き継がなければならないと思います。
「戦争って急に明日から戦争ですって始まるわけではありません。始まる過程の中で、一人一人の小さな判断が積み重なり、作り上げてしまった大きな装置なのです。大きくなってしまうと、個人としては抵抗できない。無自覚に加担してしまうこともある。そこに至る前にどうするか、次の戦争の種を見つける目が必要になってきます。」(記事引用)
「日本は他国に侵略した身なので、外圧もあり、カンボジア政府のような開き直りはできません。ただ、、広島、長崎、沖縄の歴史も大事だが、被害を知ることだけに偏れば、不都合な事実に向き合わなくなってしまう。客観的な事実よりも個人が信じたい事柄のみを信じがちな「ポスト・トゥルース」の時代とも呼ばれる現代。中国や韓国、朝鮮の人たちのさまざまな視点を借り、満州などで日本は何をしたのかを重ねてみていくことが、われわれが戦争を理解するために必要なのではないでしょうか。」(記事引用)