2024長野の子ども白書執筆者・土屋ゆかりさんにたくさんの「ありがとう」
2024長野の子ども白書はお手元に届いたでしょうか?108ページ「コロナ禍・物価高騰で困窮する家庭の子どもたちにスポーツを!困窮世帯の子どもたちの「諦める」を減らしたい」という土屋ゆかりさんの記事をぜひお読みください。
実は7月初旬に、闘病中だった土屋ゆかりさんが亡くなられたという知らせをもらいました。生前のご本人の希望で「誰にも知らせず・・・」ということで、お悔やみ欄にも掲載なくご葬儀についても公表されませんでした。今も「知らなかった」という方が多いかと思います。本当に残念でなりません。
20日に行われた「きずな村」に集まった人たちの中には土屋さんにお世話になった人がたくさんいました。「亡くなられた」という情報が広がると「あんないい人は他にいない。ありがとうと言いたかった」と涙を浮かべている方もいました。本当に、みんなの「ありがとう」を伝えたかったです。
土屋さんはここ10年、長野市社協「まいさぽ長野市」の所長を務められ、そのお人柄や支援のあたたかさに多くの人が助けられてきました。私は子育てしているお母さんが生活困窮したり仕事や住居が無く困っていたら、まず土屋さんに相談して支援につなげてもらっていました。「まいさぽ」は就労支援のための事業所ですから、「仕事探し」が中心ですが、土屋さんは本当に相談者の話を良く聞き、今の制度の中でできる支援につなぎ、子どもがいれば子どもがどうしているかも心配してくれました。だから、保護者や子どもがどんな困難に見舞われているかとても良く知っていました。現状の環境では、どうしようもないことも多いけれど、土屋さんはいつも「でも何とかしようね」と励まして、職域を超えて助けてくれました。一方で「こんなことはだめだ!」と、学校や社会の在り方を変えていくことにも遠慮はしませんでした。
昨年、長野市社協などいくつかの団体が「コロナ禍・物価高騰で困窮する世帯への支援」として、休眠預金を活用した「食料・生活物資」支援を行いました。「やさしさつなぐプロジェクト」です。大々的に宣伝しなかったのは、「本当に困窮している人」に届くように配慮したからです。このプロジェクトの立ち上げに際して、土屋さんは「子どもが部活をあきらめている」「スポーツをあきらめている」と話し、なんとかこの子ども達に運動用具を支援したいと提案しました。私もこのプロジェクトに加えてもらい、「子どもにスポーツ用品を!」という支援活動を担いました。運動靴も含めて、70人以上の子どもが運動のための道具や衣料を手にしました。協力してくれたスポーツ店は、在庫商品の提供もしてくれました。ほんの少しだけれど、夢をあきらめないで部活やスポーツに参加できた子どもたちがいました。
2024長野の子ども白書には、このプロジェクトの動機になった「子ども・保護者の切実な声」が紹介されており、その背景や解消への提言が書かれています。プロジェクトで支援を受けた当事者の声も紹介しています。
この記事を書いてくれた頃、土屋さんはすでに病床にあって、「どうしても書いておかなくては!」という強い思いで執筆して下さいました。
記事の最後に「子どもたちが夢や希望を描ける『諦めない支援』がたくさんある社会になっていたいと思います」。と書いておられます。土屋さんの早すぎるご逝去を悼み、この大事な生きざまと遺志を継いでいかなければと思います。(合掌)